ECサイトで見るべきKPIとは?KPIの設定手順や注意点を解説!

売上だけを追っていて改善ポイントが見えにくいときに、重要になるのがKPI設計です。セッション数・CVR・平均注文額・リピーター比率などを押さえ、KGIとの連動やSMART原則で具体的な指標へ落とし込みます。
本記事では、KPI設定手順を段階的に解説し、自社状況に合わせた難易度や期限設定の注意点まで紹介します。
ECサイトで見るべきKPIとは

ECサイトの運営において、KPI(重要業績評価指標)は成功を測るための重要な要素です。特に、セッション数やCVR(コンバージョン率)、平均注文額、リピーターの割合などの指標は、サイトのパフォーマンスを把握し、改善点を見つけるために欠かせません。
セッション数(訪問者数)
ECサイトにおいて、セッション数は非常に重要なKPIの一つです。セッション数とは、特定の期間内にサイトを訪れたユニークな訪問者の数を指します。
この指標は、サイトの集客力やマーケティング施策の効果を測るための基本的なデータとなります。例えば、広告キャンペーンを実施した際に、セッション数が増加すれば、そのキャンペーンが成功している可能性が高いと言えます。
また、セッション数は単独で見るのではなく、他のKPIと組み合わせて分析することが重要です。例えば、セッション数が増えても、コンバージョン率(CVR)が低ければ、訪問者がサイトに興味を持っていないか、購入に至るまでのプロセスに問題があることを示唆しています。
CVR(コンバージョン率)
CVR(コンバージョン率)は、ECサイトにおいて非常に重要なKPIの一つです。これは、訪問者の中で実際に購入に至った割合を示す指標であり、サイトの効果的な運営を評価するための基本的なデータとなります。
具体的には、CVRは「コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100」で計算されます。この数値が高いほど、訪問者が商品を購入する可能性が高いことを示しています。
CVRを向上させるためには、ユーザー体験の改善や、商品ページの最適化、購入プロセスの簡素化などが求められます。また、ターゲット層に合ったマーケティング施策を行うことで、より高いCVRを実現することが可能です。
平均注文額(AOV)
平均注文額(AOV)は、ECサイトにおける重要なKPIの一つで、顧客が一回の購入でどれだけの金額を支出しているかを示す指標です。
この数値は、売上を向上させるための戦略を立てる際に非常に役立ちます。AOVを把握することで、顧客の購買行動を理解し、効果的なマーケティング施策やプロモーションを実施することが可能になります。
AOVは、総売上を総注文数で割ることで算出されます。例えば、1ヶ月の総売上が100万円で、注文数が500件であれば、AOVは2,000円となります。この数値を基に、顧客単価を上げるための施策、例えばバンドル販売や送料無料の条件を設定するなどの戦略を検討することができます。
リピーターの割合
リピーターの割合は、ECサイトにおける顧客の忠誠度を示す重要なKPIの一つです。この指標は、一定期間内に再度購入した顧客の割合を示し、顧客がどれだけ満足しているかを測る手段となります。
リピーターが多いほど、顧客の信頼を得ている証拠であり、長期的な売上の安定にも寄与します。リピーターの割合を向上させるためには、顧客体験の向上や、リピート購入を促す施策が不可欠です。
例えば、購入後のフォローアップメールや、リピーター向けの特別割引、ポイント制度などを導入することで、再訪問を促すことができます。また、リピーターのデータを分析することで、どのような商品やサービスが再購入につながっているのかを把握し、さらなる戦略を立てることが可能です。
ECサイトのKPIの設定手順とは

ECサイトのKPIを効果的に設定するためには、まずKGI(Key Goal Indicator)を明確にすることが重要です。次に、KGIを達成するためのKSF(Key Success Factor)を特定し、それに基づいて具体的なKPIを設定します。
KGIを設定する
KGI(Key Goal Indicator)は、ECサイトの成功を測るための最も重要な指標です。まずは、ビジネスの最終目標を明確にすることから始めましょう。
例えば、売上目標や市場シェアの拡大、顧客満足度の向上など、具体的なゴールを設定することが重要です。これにより、KPIを設定する際の指針が明確になり、全体の戦略が一貫性を持つようになります。
KGIは、定量的な数値で表現することが望ましいため、達成すべき具体的な数値目標を設定しましょう。例えば、「年間売上を10%増加させる」といった具体的な目標があれば、チーム全体がその達成に向けて動きやすくなります。
また、KGIには時間軸を持たせることも重要です。例えば、1年後に達成する目標として設定することで、進捗を定期的に確認しやすくなります。
KSFを設定する
KPIを効果的に設定するためには、まずKSF(Key Success Factor)を明確にすることが重要です。KSFとは、目標達成に必要な重要な成功要因を指し、これを特定することで、どのKPIを重視すべきかが見えてきます。
例えば、ECサイトの場合、顧客満足度やサイトの使いやすさ、マーケティング戦略の効果などがKSFとして挙げられます。
KSFを設定する際には、自社のビジネスモデルや市場環境を考慮し、具体的な要因を洗い出すことが求められます。これにより、KPIがより実践的で意味のあるものとなり、戦略的な意思決定に役立つでしょう。
KPIを設定する
KPI(重要業績評価指標)を設定することは、ECサイトのパフォーマンスを向上させるための重要なステップです。まず、KGI(重要目標達成指標)を明確にし、その達成に向けた具体的な行動を示す指標を選定します。
次に、KSF(重要成功要因)を特定し、どの要因がKGI達成に寄与するかを分析します。このプロセスを経て、具体的なKPIを設定することが可能になります。
KPIは、定量的なデータに基づいて設定することが重要です。例えば、セッション数やCVR(コンバージョン率)など、数値で測定できる指標を選ぶことで、進捗を把握しやすくなります。また、設定したKPIは定期的に見直し、必要に応じて修正することも大切です。
ECサイトでKPIを設定する際に重要なこと

ECサイトのKPIを設定する際には、いくつかの重要なポイントがあります。これから解説する要素を意識することで、効果的なKPIを設定し、目標達成に向けた道筋を明確にすることができます。
具体的であること(Specific)
KPIを設定する際に最も重要な要素の一つが「具体性」です。具体的であるとは、目標が明確であり、誰が見ても理解できるような形で表現されていることを指します。
例えば、「売上を増やす」という漠然とした目標ではなく、「次の四半期で売上を10%増加させる」といった具体的な数値を設定することが求められます。
このように具体的な目標を設定することで、チーム全体が同じ方向に向かって努力しやすくなり、進捗状況を測定する際にも明確な基準が得られます。
また、具体性はKPIの達成に向けた戦略を立てる際にも役立ちます。目標が明確であれば、どの施策が効果的であるかを分析しやすくなり、必要なリソースや時間を適切に配分することが可能になります。
計測可能であること(Measurable)
KPIを設定する際に重要な要素の一つが「計測可能であること」です。これは、設定した指標が具体的な数値で表現でき、実際にデータとして収集できることを意味します。計測可能なKPIは、進捗状況を把握しやすく、改善点を明確にするための基盤となります。
例えば、ECサイトにおけるコンバージョン率(CVR)や平均注文額(AOV)は、具体的な数値で表現できるため、効果的なKPIとして機能します。
これにより、施策の効果を定量的に評価し、必要に応じて戦略を見直すことが可能になります。計測可能な指標を設定することで、チーム全体が同じ目標に向かって進むための共通の基準を持つことができるのです。
達成可能であること(Achievable)
KPIを設定する際には、達成可能であることが非常に重要です。これは、設定した目標が現実的であり、実行可能であることを意味します。
過度に高い目標を設定すると、チームの士気が下がり、結果的に目標達成が難しくなります。逆に、あまりにも低い目標では成長を促すことができず、ビジネスの発展に繋がりません。
達成可能なKPIを設定するためには、過去のデータや市場のトレンドを参考にし、自社のリソースや能力を考慮することが必要です。また、チームメンバーと協力し、現実的な目標を共有することで、全員が同じ方向に向かって努力できる環境を整えることが重要です。
KGIと関連していること(Relevant)
KPIを設定する際には、KGI(Key Goal Indicator)との関連性をしっかりと考慮することが重要です。KGIは最終的な目標を示す指標であり、KPIはその目標を達成するための進捗を測るための具体的な指標です。
したがって、KPIがKGIと連動していることを確認することで、戦略的な方向性を維持し、効果的な施策を実施することが可能になります。
例えば、売上をKGIとする場合、KPIとしてはセッション数やCVR、平均注文額などが考えられます。これらのKPIがKGIに向かってどのように寄与しているのかを定期的に見直し、必要に応じて調整を行うことで、より効果的なECサイト運営が実現できます。
期限が明確であること(Time-bounded)
KPIを設定する際には、達成のための期限を明確にすることが重要です。期限を設けることで、チーム全体が目標に向かって一丸となり、進捗を測る基準を持つことができます。
例えば、四半期ごとにKPIを見直すことで、短期的な成果を確認しやすくなり、必要に応じて戦略を修正することも可能です。
また、期限を設定することで、目標達成に向けたモチベーションを維持しやすくなります。具体的な期限があることで、チームメンバーは自分の役割を理解し、行動計画を立てやすくなります。これにより、KPIの達成に向けた取り組みがより効果的になるでしょう。
ECサイトのKPIを設定する時の注意点とは

ECサイトのKPIを設定する際には、自社の状況に応じた難易度のKPIを選定することが重要です。他にもいくつかの注意点を理解し、ECサイトのKPIを適切に設定しましょう。
自社の状況に合わせた難易度のKPIを設定する
KPIを設定する際には、自社の状況やリソースに応じた難易度を考慮することが重要です。例えば、新規事業やスタートアップの場合、急成長を目指すあまりに高すぎる目標を設定すると、チームの士気が下がる原因となります。
一方で、あまりにも低い目標では成長の機会を逃してしまうことになります。そのため、まずは現状のデータを分析し、過去の実績や市場のトレンドを踏まえた上で、達成可能かつ挑戦的なKPIを設定することが求められます。
具体的には、過去のセッション数やコンバージョン率を基に、次の四半期や年度の目標を設定することが効果的です。また、チーム全体で目標を共有し、進捗を定期的に確認することで、柔軟に目標を見直すことも大切です。
数値可能な目標にする
KPIを設定する際には、数値可能な目標を設定することが不可欠です。具体的な数値を持つことで、進捗状況を明確に把握でき、改善点を見つけやすくなります。
例えば、「売上を増やす」という漠然とした目標ではなく、「次の四半期で売上を10%増加させる」といった具体的な数値目標を設定することが重要です。
数値目標は、チーム全体が同じ方向を向いて努力するための指針となります。また、定期的にその数値を見直し、達成度を評価することで、必要に応じて戦略を修正することも可能です。
期限を設ける
KPIを設定する際には、必ず期限を設けることが重要です。期限を明確にすることで、目標達成に向けた進捗を測定しやすくなります。
また、チーム全体が同じタイムラインで動くことで、協力体制が強化され、目標に向かう意識が高まります。例えば、四半期ごとにKPIを見直すことで、必要に応じて戦略を修正し、柔軟に対応することが可能です。
さらに、期限を設定することで、達成感を得やすくなります。短期的な目標をクリアすることで、モチベーションが向上し、次のステップへと進むエネルギーを生むことができます。
まとめ
ECサイトにおけるKPIの設定は、売上向上や顧客満足度の向上に直結する重要なプロセスです。セッション数やCVR、平均注文額、リピーターの割合といった指標を適切に設定し、KGIとの連動を図ることで、より具体的な目標を持つことができます。
また、SMART原則に基づいたKPIの設定は、達成可能で測定可能な目標を提供し、効果的な改善策を導き出す手助けとなります。自社の状況に応じたKPIを設定し、定期的に見直すことで、持続的な成長を実現しましょう。